
男のメンツ?果たして勃起して射精できれば健康なのか?
更新日:3 日前
男性の性機能について考えるとき、
「勃起できるか」
「途中で萎えないか」
「射精できるか」
こうしたことが、一つの基準として捉えられることが多いと思います。もちろん、勃起したいのにできなかったり、射精したいのにできないということで悩んでいれば、改善する方法を一緒に考えていくことはとても大切だと思っています。
でも私は、日々患者様の性の悩みに向き合う中で、最近少し違うことも考えるようになりました!
そもそも、その人は何を望んでいるのだろう?
ということです。
「セックスしたい」が当たり前とは限らない、ってことです。
これまで男性には、「男性ならセックスをしたいもの」「勃起するのが健康な男性」「挿入して射精するのがセックス」といった価値観が、どこか当たり前のように存在してきたのではないかなと思っています。
実際の性のあり方はもっと複雑です。2024年の「JEX JAPAN SEX SURVEY」では、全国18〜69歳の男女5,029人を対象に調査が行われています。男性全体では「セックスをしたい」と考えている人が8割を超えている一方、10〜20代男性では63.4%にとどまりました。つまり、若い男性だからといって、全員が強く性交を求めているわけではありません。 (JFPA | JFPA)
また同調査では、1年以上性交渉がない人は男性45.3%、女性52.8%。1か月以上性交渉がない人まで含めると男女とも6割を超えています。 (JFPA | JFPA)
別の日本国内の20〜49歳8,000人を対象とした2022年の調査でも、過去1年間に性的なパートナーがいなかった人は男性44.5%、女性45.3%でした。
一方、「性生活に満足している」と回答した人は男性23.1%、女性27.8%でした。 (PubMed)
こうした数字を見ると、性交の有無だけでは、その人の性の満足を測ることはできないように思います。
勃起しないから、治療するのではない
ここは、私がとても大切にしたいところなんです!
「勃起しないから治療する」のではなく、
「本人が勃起したいのに、できなくて困っているから治療する」
のだと考えています。射精についても同じです。射精できないことそのものを、すべて「異常」と考える必要はありません。
本人が射精したい。
パートナーとの性生活の中で射精したい。
でも、それができないことに困っている。
だから、その原因を一緒に考えていく。
反対に、性交をそれほど重要だと思っていない人に対して、「もっと勃起できるようになりましょう」「性交して射精できるようになることがゴールです」と決めてしまうのは、その人自身の希望とは違うんじゃないかなって。
性の満足は、性交だけではない
これは「セックスをしなくてもいい」という話だけでもありません。たとえば、性交そのものにはあまり関心がない。でも、マスターベーションだけでは何か物足りない。人と触れ合いたい。身体で気持ちよさを感じたい。パートナーとの親密さがほしい。自分自身の身体や性的な感覚を、もう少し知りたい。そう感じる人もいますよね。
逆に、勃起もできる。射精もできる。性交もしている。それでも、「なんとなく満たされない」という人もいるかもしれません。性の満足は、勃起 → 挿入 → 射精という一つの流れだけで決まるものではないと思います。
触れられることや、安心すること。興奮すること。身体で感じることや、相手との距離感。自分自身の身体への理解。人によって大切なものは違います。
「正常かどうか」より、「困っているかどうか」
性の悩みについて考えるとき、「普通はどうなのか」「男性ならこうあるべきなのか」ということが、とても気になると思います。でも私が治療の中で大切にしたいのは、正常か異常かを決めることよりも、本人が困っているかどうか。
大事なのは、本人がどうなりたいのか?ってことなんじゃないかなって思っています。勃起したい人には、勃起するための方法を考える。持続させたい人には、その原因を考える。射精したい人には、射精しにくくなっている理由を考える。そして、性交とは別のところに自分の性の満足を求めている人なら、それも一つの大切な性のあり方だと思います。
鍼灸で私が見ているもの
EDや男性機能への鍼灸というと、「どこのツボに鍼をすれば勃起するのですか?」と思われることもあります。もちろん、血流や筋肉、自律神経など身体的な部分を見ることは大切です。ただ、人の性反応は身体だけで起こっているわけではありません。緊張、不安、プレッシャー、呼吸、身体感覚、パートナーとの関係、その日の体調。さまざまなものが関係しています。
だから私は、単純に「勃起させること」だけを治療のゴールにはしたくありません。その人が、何に困っていて、どうなりたいのか。まずそこを知ることが、治療の始まりだと考えています。
あなたにとっての「性の満足」とは何ですか?
男性の性について語るとき、これまでは「できる・できない」という視点が中心だったのかもしれません。でも、性のあり方が多様になっている今、勃起できるか。射精できるか。性交しているか。それだけじゃなくて、「自分は本当は何を求めているのか」ってもう一度考えてほしいですし、これからの性の健康には必要なのではないかなと思っています。
勃起や射精を望む人にとって、それはもちろん大切なことです。でも、それだけが男性の性の健康を測る唯一の物差しではありません。私は、鍼灸治療を通して身体を整えるだけではなくて、その人自身が望む性生活や性の満足とは何なのか。そこまで一緒に考えられる場所でありたいと思っています。
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